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遺言書を書くべき人~前編~

私は5年前、祖父に遺言書を書いてくださいとお願いしたことがあります。

それはなぜか。
お恥ずかしい話ですが、将来、祖父が亡くなり相続の場面になった際、遺言書が無い状況では相続人の話し合いだけで円満な相続を実現することは不可能だと、税理士の立場から薄々感じていたからです。

私は代々続く農家の長男として生まれましたので、相続対策で祖父祖母と養子縁組をしていました。私の父や叔父叔母と同じく、私は祖父の相続人です。
私は相続を専門にしている税理士ではありますが、祖父が元気なうちに相続のことに意見をすることが祖父の機嫌を損ねる恐れがありましたので、孫の私が実家の相続に口出しをすべきではないと心に決めていました。

しかし、ふとある時、実家の相続はこのままではいけないと急に思い立ちました。
すぐに父に電話をし、祖父が元気なうちに遺言書を書いてもらった方がいいと提案をしました。実家で父と一緒に、「遺言書を書いてください」と祖父に恐る恐るお願いをしましたが、不思議と祖父は理解を示してくれ、その後、遺言書の作成は順調に進みました。

遺言書を作成してから半年後に祖父は他界しましたが、
遺言書があったおかげで、祖父の相続は比較的スムーズに進めることができました。

祖父の後を追うように、2年後に祖母も他界しました。
祖母は生前の健康状態が思わしくなかったため、遺言書を書くことができませんでした。
祖母の相続は、私の心配とおり、争族になってしまいました。

遺言書のあるなしでここまで相続は変わるのかと、私は身を持って経験しました。

(遺言書を書くべき人~後編~に続く)

 

(執筆者:代表取締役 島根 猛)

 

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